ヘレディタリー 継承 映画ネタバレ感想&考察

注意! ネタバレあり〼

原題:HEREDITARY
意味:①〈病気・性質などが〉遺伝性の ②〈習慣・信仰などが〉親譲りの

©2018 Hereditary Film Productions,

久しぶりに興味深いホラー映画だった。
悪魔教団が悪魔を召喚しようとする話。
なかなか複雑な筋立てで、タイトルの「ヘレディタリー = 性質、信仰などが親譲り」というのが、この映画を観る上での大切なキーワード。

物語は部屋の中に置かれたドールハウスやジオラマの映像から始まる。
ドールハウスの一室がぐーっとアップになると、いつのまにか現実の世界と重なり、この映画の主役一家が登場する。

このドールハウスを作っているのが、その一家の母親。
実際に自分たちが住んでいる家や、体験した出来事をミニチュアで再現している。

この母親が物語のキーマンなのだが、どうやらこの母親は二重人格らしい。(それを匂わせる描写も色々と出てくる。)
家族を大切に守りたいと思う人格と、母から受け継いだ悪魔を崇拝する人格が存在しているのではないか。

ドールハウスを作る母は、そのまま現実の世界で、家族を自分の思い通りに操る悪魔崇拝者であった、というメタファー。

しかし映画では、家族を守りたいと思っている人格のほうしか描かれないので、不可解にストーリーが進んでいく。


分かりやすく怪しいのが娘のチャーリー。
演じるのはミリー・シャピロさん。
演技上手すぎ、すごい不気味・・・ 内向的で気難しそうで偏屈な雰囲気がよく出ている。

このチャーリー、舌を「こっ、こっ」と鳴らすのが癖。不気味な音である。

それが鳴っただけで怖いような「音」ってホラー映画では大事な要素だなあ、とフト考える。
例えばお馴染み「リング」では、黒板を引っ掻くような「キー・・キー・・」という高音。
あと、喉の奥から絞り出すような「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」は「呪怨」の俊雄くん。

それを聞いただけで「おい、やめとけよ」となる。

そんな恐怖音の新しい仲間が、このチャーリーの「こっ、こっ」!!

ちなみに私の従兄は、矢追純一さんのUFO番組で使われていたジングルを聞くと、身悶えして恐怖に慄いていた。

それはさておき、このチャーリーはかなり早い段階で車と電柱に挟まれて、頭取れて死んじゃうのですが、この電柱に悪魔の紋章が描かれている。
つまり、このチャーリーの死は計画通り。
悪魔教団が召喚する悪魔 “ペイモン” は男の体に入るのが本意らしく、まずチャーリーに入って、最終的にはお兄さんのピーターに入ろうと画策してたっていうのが見え始める。

この辺りから兄ピーターが追い詰められてくる。

ピーターを演じるのはアレックス・ウォルフさん。

おそらく男前なんだけど、画像検索かけたらこの人の写真に紛れてムロツヨシさん出てくる。いや、全然似てないけど、ホクロな。

母親は最後、完全に悪魔に憑りつかれたみたいになって、天井に張り付いたり、血ぃ吹き出したりしてピーターへの追い込みがえげつない。

奇をてらわず素直な「ザ・ホラー」な描写が好ましい。

そりゃピーターもビビるわ・・。最終的にはピーターも「こっ、こっ」て舌を鳴らし始めてジ・エンド。

ピーターかわいそう。

かわいそうなんだけど、一番かわいそうなのはお父さん。

完全に部外者で被害者。善良で家族を愛してた、健やかなお父さんでした。

つまりこれは、母方の血筋を受け継いだものが大変な目に遭うっていう、遺伝の恐ろしさを描いた映画でした。


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本作品の配信情報は2019年11月26日時点のものです。
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本ページの情報は2019年11月26日時点のものです。
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そして、悪魔とかアレイスター・クロウリーとか、オカルト好きには好物が提供される美味しい映画でした。

公式サイト には「観た人限定の解析ページ」というのがあり、映画観たけどもう少し深堀りしたい!という人にはオモシロイのではないでしょうか。



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お母さんの顔がもう怖い!!

監督・脚本:アリ・アスター
撮影監督:パヴェウ・ポゴジェルスキ
音楽:コリン・ステットソン
製作年:2018年 / アメリカ