ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春 映画ネタバレ感想

注意! ネタバレあり〼

原題:DEAD HEADS

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紛れもない愛の物語。

見始めてすぐに “この監督オタクだなー” と分かるくらいに映画愛に溢れた作品。

色んな映画へのオマージュが散りばめられている。

「バタリアン」みたいなゾンビが出てきたり、「死霊のはらわた」みたいな家が出てきたり、ポテトヘッドだのフォースだの、「プルトニウム切れだっ!」て叫んだり。

監督のピアース兄弟は、お父さんが「死霊のはらわた」のSFX アーティストで、幼い頃に自宅の地下室で「死霊~」の撮影をしていたのを見て育ったらしい。凄い環境。

あの死霊、生で見てたんだ。だから、やたら「死霊のはらわた」出てくるんだ。


ゾンビが発生した小さな町で、二人だけ意識を保ったままの半ゾンビが主役。
肉体は死んでいるのに、意識だけははっきり人間のまま。
普通に喋ったり笑ったり怒ったり。

半ゾンビのマイクは生きていた時の記憶が曖昧だが、結婚したいと思っていた女性の存在を思い出す。

もう一人の半ゾンビのブレントと共に、マイクはその恋人を探す旅に出る。

このブレントがお調子者だけどスゴク良いヤツで、マイクを色々と応援してくれて、最終的には大親友になる二人。

コロラド州からミシガン州まで、まさかのロードムービー。

途中「ショーン・オブ・ザ・デッド」と好対照のシーンが出てきて、思わず膝を打った。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」では普通の人間がゾンビに囲まれた中で、ゾンビのふりをしてやり過ごす、という愛し過ぎる名シーンがあるが、この「ゾンビ・ヘッズ」では逆に、ゾンビが人間に囲まれて、人間のふりをしてやり過ごそうとするシーンがあるのだ。

可愛くてしょうがない。

あまりにも過酷な撮影の日々で、監督たちはテンションがおかしくなり『ゾンビって可愛すぎる。ゾンビ愛しくてしょうがない。』みたいになったらしいのだが(公式サイトより)、そのゾンビ愛が全編に滲み出しまくっている。


グロシーンもしっかりあり、思った以上の作りこみ。

仲間の死で思わず泣いたりして、意外な感動をしてしまったり、

まるで「黄昏」のような、まさかの美しいカットがあって驚かされたり。

何より私が好きだったのは、マイクとブレントのゾンビ二人が自転車で二人乗りをするシーン。
とにかくめちゃくちゃ素晴らしい!
抜けるような青空、二人の友情、美しくて青春

音楽も最高で、緊迫感もあり、学園青春ラブロマンスもあり。

何の映画か分からなくなってきますが、ゾンビ映画です。

そして紛れもない愛の物語です。


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本編のエンドロールにはあざとオモシロイNG集もあるよ!

監督・脚本:ザ・ピアースブラザーズ(ブレット・ピアース / ドルー・T・ピアース)
撮影:ロバート・トス
音楽:デヴィン・バロウズ
製作年:2011年 / アメリカ