注意! ネタバレあり〼
原題:GEHENNA WHERE DEATH LIVES
©2016 GEHENNA FILM COMPANY, LLC.
“ゲヘナ”とは呪われた場所 悪人の終着点である
映画『ゲヘナ』より
“両眼がそろったままゲヘナで生きるよりは 片目で生を受けるほうがいい”
映画『ゲヘナ』より
マタイによる福音書 18章9節
サイパンに残されていた太平洋戦争時代の日本軍の地下壕へと入った5人が、呪いによって閉じ込められて、その上タイムループまでしてしまう話。
1670年、サイパンの先住民は、酷いことをした侵略者(スペイン人)に呪いをかけ、生き地獄(ゲヘナ)に閉じ込めた。
ただ一人、地獄のような場所で生き永らえ続けるスペイン人。
その後1944年、日本軍が地下壕を作る際に、封印されていたゲヘナの扉を開いてしまう。
ゲヘナの呪いは、たった一人だけが暗闇の中で生き続けること。
日本軍が来たことにより、スペイン人は死ぬことが出来た。
そして今度は日本軍の中の一人が生き永らえなくてはならない。
そもそも地下壕でおかしくなってゲヘナの扉を破るのは、加藤という軍人。
“奇妙な軍人”の名前はだいたい「加藤」にしておけば納得。荒俣先生の功罪。
そして日本軍は将校一人を残して全滅。
2014年、現代人5人が地下壕へ降りる。
地下壕内では、一人生き永らえているミイラのようなジジイが徘徊していたが、登場してすぐに死ぬ。
(公式に「ジジイ」と呼ばれているので踏襲。)
そして5人は1944年にタイムスリップする。
日本人将校が自害し、なんだかんだあって、結局最後の一人になるまで人が死んでいく。
最後に生き残った者は、2014年に5人が地下壕へ降りてくるまで、70年間暗闇の中で一人生き永らえなければならない。
図式にしてみました。
日本人将校はとばっちり的に自害の1日をループする事になるが、本人は気付いていないし、地下壕建設からゲヘナの扉を開けるまではおそらく一か月ほどの期間と思われるので、早いスパンで死ねたのは幸運と言うべきか。
なぜ、2014年から1944年にタイムスリップしたのか。
日本人将校が2014年まで生き永らえる設定にも出来たのに。
まあでもそうなると、モーガンがすぐ助けに来てややこしいか。
(モーガンとは、地下壕で消息を絶った部下を心配する上司。2014年の人。)
なんせゲヘナの扉は、外から開けられることを日本兵が証明しているので、最後の一人が決定した瞬間にこじ開けそうだなモーガン。
ちなみにモーガン役のランス・ヘンリクセン氏は、『エイリアン』のビショップ役の方。
呪いのカギとなるボージョボー人形は、男女で一対のお人形。
しかしバラバラにされたことにより、呪いが完成する。
【男のボージョボー人形】 1670年の呪いの儀式の際に岩に塗り込められる → それを日本兵が掘り出す → 自害した日本兵の胸ポケットから、現代人の現地ガイドのペペ君がゲット
【女のボージョボー人形】 1670年から2014年までずっと先住民に受け継がれてきた → 先住民の長老が地下壕前で落とす(迂闊)→ カメラマンのデイブが拾う → 仲間のポリーナに引き継ぐ → ペペ君がゲット。
ペペ君が地下壕内で2体ゲットした時点で、呪いを解いて戻れるチャンスはあった。
でもパニック状態の現代人が、そのチャンスを自ら潰す。
70年も考える時間あったろうよ・・・。
もっと上手く伝えられる言い方 考えとけよジジイ。
70年間孤独だったジジイを演じたのはダグ・ジョーンズさんと言って、『シェイプ・オブ・ウォーター』で半魚人やったり、『バイバイマン』やったり面白い役者さん。
ギレルモ・デル・トロ監督作品の常連さん。
しかしパラドックスだよなぁ・・・
70年後に上手く回避できたとしたら、今ここに居る自分は存在しないわけで・・。
スティーヴン・ホーキング博士が、このパラドックスが解けない限りタイムマシンは無理って言ってた。
それはさておき、少なくとも2回ループ確定なので、生存者のひとりぼっち合計年数は140年。
4回ループでスペイン人の時間を超えてしまう。
まあ、実際に体感するのは70年だから、274年よりはマシかな・・・。嫌だけど。
何とか4回目までにループから抜けられるといいね。
部下を心配する上司モーガンが最後の最後、助けに行って地下壕に入ったとしたら、おそらく全員のミイラがある。
全員のミイラがあるという事は、生き残りが一人もいない、つまり呪いが終了していることになる。
もはや呪いはループの中にしか存在しない。
しかも、女のボージョボー人形をループの中に持ち込んでしまったので、外部からの干渉もできなくなった。
呪いによって彼らはタイムスリップさせられて、呪いはループの中で完全なものとなった。
もう、あのジジイに賭けるしか術はない。
4回目までにループから抜けるのは無理な気もするが、何とか頑張ってほしい。
すごく難しいお話だったような気もするし、否、そんなに深く考えなくてもループ怖いよ、あとビジュアルも怖いよ、っていうエンタメ系だったような気もするし、とにかくすごく丁寧な映画だなぁという印象が心に染みた作品です。
ハリウッドで活躍している特殊メイクアップアーティスト( 『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』や『パシフィック・リム』等 )の片桐裕司氏の初監督作。
さすが本場の映画製作者なだけあって、初監督とは思えない仕上がりでした。
動画配信ならお得なレンタルもあり。
本作品の配信情報は2019年12月3日時点のものです。 最新の配信状況についてはホームページをご確認ください。
DMM.comのDVD宅配レンタルでもあり。
監督・脚本:片桐裕司
撮影:立石洋平
製作年:2016年 / 日本・アメリカ