ダリダ~あまい囁き~ 映画ネタバレ感想

注意! ネタバレあり〼

原題:DALIDA

©2017 BETHSABEE MUCHO – PATHE PRODUCTION – TF1 FILMS PRODUCTION- JOUROR CINEMA

ダリダの事はよく知らない。

昔観たロマーヌ・ボーランジェ主演の「ミナ」という映画で聞いた、ダリダの「18歳の彼」という曲がとても印象に残っていた。

参考 ミナFilmarks映画

アラン・ドロンとのデュエットや恋の噂などもあり、一世を風靡した歌姫ダリダ。

1956年のコンテストで見いだされてから、1987年に自殺するまでの足掛け31年間を描くのだが、あまりにも色々なことがあって、表面をなぞるようにストーリーは進む。

心情や状況を詳しく説明するようなセリフや映像は少なく、彼女のわずかな表情や歌から、観ている側が想像を膨らませなければならない。

観客に大いなる信頼を寄せて作られた映画だ。

映画内での彼女の年表をまとめてみた(映画内から拾った情報なので事実とは異なる部分もあるかもしれない。)

1933年 0才 エジプトに誕生

1956年 23才
オランピア劇場でのコンテストで、のちの夫となるルシアンに見いだされる

ルシアンと恋に落ちる

1961年 28才 歌謡曲賞受賞

この頃、ルシアンと結婚
(待たされ過ぎたダリアの気持ちはすでにルシアンから離れていた。)
結婚から一月後、若い画家ジャン・ソビエスキーと出会う
ルシアンとは離婚

1966年頃  弟の設立した事務所へ移籍

歌手ルイジと恋に落ちる

1967年 34才
 1月 サン・レモ音楽祭 ルイジが自殺
 2月 ルイジ自殺の一か月後、自殺未遂
    郊外の静養所へ入所
    ソビエスキーとは別れる(既に別れていた?)
10月 復帰後、仕事のためローマへ
    22才の青年ルチオと恋に落ちる

ルチオとの子を妊娠、中絶
ルチオへ別れを告げる
この間にも歌手活動は順調
賞をもらったりしている

1971年 38才
インドへ
歌をやめようと思い詰めるが聖者に諭される
落ち着きを取り戻し、意欲的に歌に取り組む
元夫であり歌手ダリダの育ての親でもあるルシアンが自殺

精神的に辛くなったのか、セラピーへ通い始める

1972年 39才
リシャール・シャンフレイと出会い恋に落ちる

アラン・ドロンとの恋の噂
リシャールとデュエット発売(リシャールの歌はヒドイ)
リシャールが家政婦の知人を撃ってしまい、保釈金・賠償金をダリダが支払う
リシャールとの関係はギクシャクしながらも続く

1979年 46才
大規模なショーを開催
ショーの直前にリシャールと破局

1981年 48才 リシャール自殺

ダリダは拒食症と鬱気味で引きこもりのような状態

1986年 53才
エジプトで映画の撮影
生まれた町で凱旋パレードをしてはしゃぐ

1987年 54才
自宅で薬を飲んで眠るように自殺

ざっと、これだけの内容が映画で描かれる。

出来事の間が何年も空いていたりして、その間どのような気持ちの変化があったのか、何故ルシアンは自殺したのか、ルシアンの死がダリダにどのような影響を与えたのか、といった事は描かれない。

ただ、私生活が上手くいかない時でも、ステージでスポットライトを浴びて笑顔で歌い、出演前に一人で震えながら重圧に耐える彼女の姿が映される。
そして相次ぐ恋人の自殺。

観ている側はそこから彼女の心情をおもんぱかるしかない。

彼女の本当の気持ちは彼女にしか分からない。

一歩引いた描き方は、監督の彼女への最大限の敬意かもしれない、監督はダリダの事が大好きなのかもしれない、と思った。

彼女の魂を救えるのは、彼女自身しかいなかった。

彼女の魂が、 今は安らかで穏やかでありますように。


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本作品の配信情報は2019年11月29日時点のものです。
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監督・脚本:リサ・アズエロス
撮影:アントワーヌ・サニエ
音楽:ジャン=クロード・プティ
製作年:2017年 / フランス